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障害者雇用の履歴書は何を書く?障害特性や合理的配慮、職歴の書き方を解説します

障害者雇用の履歴書は何を書く?特性や合理的配慮・職歴の書き方を解説

障害者雇用での就職活動・転職活動を始めようとすると、まず必要になるのは履歴書です。障害者雇用の場合、履歴書はどのように書けばいいのか、迷われている方もいらっしゃると思います。
この記事では、障害者雇用の履歴書の書き方、書いた方が良い内容などをお伝えします。
これから障害者雇用での就職活動・転職活動を始めようとされている方、現在就職活動中の方はぜひ最後までお読みください。

障害者雇用の履歴書の書き方

障害者雇用の就職活動における履歴書の書き方は、基本的には一般雇用と同じです。連絡先や学歴・職歴、志望動機などは一般雇用と同様に記載しましょう。

障害者雇用の履歴書で特徴的なのは、以下の点です。

  • 診断や障害特性のことを書く
  • 働くうえで必要な”配慮事項”について書く

また、以下の点については迷う人がいるかもしれません。

  • 退職や休職のことはどう書いたら良いのか?
  • 就労移行支援などの利用歴は書いた方が良いのか?

上記の点について、順を追って解説していきます。

障害について、履歴書に書くべき内容と書き方

障害者雇用の求人に応募する場合は、障害のことも履歴書に記載するようにしましょう。

書くと良いのは、以下の点です。

  • 手帳の種類や等級
  • 診断名
  • 障害の特性や症状
  • 特性や症状に対処するために、自身で行っている対策
  • 働くうえで必要な配慮事項

それぞれの内容について、説明していきます。

手帳の種類や等級

障害者手帳の種類や等級は、会社として障害者雇用を行う際に必要な情報です。履歴書に記入しておくと良いでしょう。
会社によっては、応募時に障害者手帳のコピーの提出を求められることもあります。会社の指示に従いましょう。

診断名

自身の障害や疾病の、診断名を記載すると良いでしょう。ただ、診断名はあくまでも診断名。同じ診断でも特性や症状は人それぞれです。
診断名よりも重要なのが、この後にご説明する障害特性や自己対策、配慮事項の部分になります。

障害の特性や症状

自身の障害の特性や症状について、簡潔に記載しましょう。

ここで重要なのは、以下の点です。

  • 一般的な特性や症状を記載するのではなく、あなた自身の特性や症状について説明する
  • 働くうえでの困りごととなる点にフォーカスする

自身の障害特性や症状について、伝わりづらい例と伝わりやすい例をあげて説明します。

例文解説
伝わりづらい例①「自閉症スペクトラムとは、社会性の質の違い、コミュニケーションの質の違い、想像力の質の違いという3つ組の障害があります。」自閉症スペクトラムの一般的な説明になってしまい、あなた自身がどういう特性なのかがわかりづらいです。
伝わりづらい例②「金銭管理が苦手で、衝動的に買い物をしてしまうことがあります。」仕事をするうえでどのような困りごとが発生するのか、わかりづらいです。私生活のみで生じる困りごとであれば、あえて履歴書に書かなくても良いでしょう。
伝わりやすい例「優先順位をつけて計画をたてることが苦手です。複数の仕事が同時に発生すると、どれから手をつけるべきか判断ができないことがあります。」仕事をするうえでの困りごとを、例をあげながら具体的に説明しているので、採用担当者にも伝わりやすいです。

このように、あなた自身が、働くうえでどのような困りごと・苦手なことがあるのかを説明すると良いでしょう。

特性や症状に対処するために、自身で行っている対策

自身で行っている対策(自己対策)を示すことはとても重要です。
合理的配慮は、会社とのコミュニケーションの上でなりたちます。

会社に合理的配慮を求める場合、一方的に求めるだけでなく「自分ではこのような対策を行っているが、それでも対処しきれない部分について配慮をお願いしたい」と伝える方が、理解を得やすいのです。

例文は次の項目でお示しします。

働くうえで必要な配慮事項

働くうえでどのような配慮事項が必要なのかを記載しましょう。

ここで大切なのは、「このような配慮をしてもらうことで、より良い成果を出すことができ、会社に貢献できる」と、成果を出すための配慮事項を伝えることです。

例文解説
伝わりづらい例きつく言われるのが苦手なので、優しく話してほしいです。あなたの希望のみが書かれていて、仕事の成果につながるイメージがつきません。
伝わりやすい例強い言葉で指摘されると思考が止まってしまうことがあります。なるべく穏やかに話していただけると、落ち着いて理解することができます。「穏やかに話すことで、指摘事項を受け止めて、より良い成果を出してもらえるんだな」と、成果につながるイメージがつきます。

ここまで説明してきた、特性・対策・配慮事項のポイントを盛り込むと、以下のような例文になります。

障害の特性・対策・配慮事項をまとめた例文

優先順位をつけて計画をたてることが苦手です。複数の仕事が同時に発生すると、どれから手をつけるべきか判断ができないことがあります。自分なりに優先順位を考えて質問するようにしていますが、間違った優先順位で進めていないか、定期的に確認の機会をいただけると幸いです。

特に配慮が不要な場合は?

「特に働くうえで困ることはとくに無いな」
「自分が我慢すれば大丈夫だから、配慮してもらうほどでは無いな」

そのような場合は、障害のことや配慮事項は記載しないほうが良いのでしょうか?

「特に配慮いただきたい事項はありません」
と書くことが必ずしも選考に有利かというと、そうでもありません。

障害者雇用で応募されているからには、何らかの配慮が必要であるというのは、企業側も理解していることです。
「特に配慮事項はありません」と伝えると、逆に「自分の体調や特性への理解が不十分なのでは」と受け取られることがあります。

障害者雇用で働きたいと思っている背景には、何かしら理由があると思います。その理由の部分が、配慮事項につながります。

今は症状が落ち着いていて、業務量が極端に増えなければ特に配慮は不要だな、という場合でも、
「現在は服薬により症状が安定しています。疲れが溜まったり不調を感じた場合は、業務量などを相談させていただけると幸いです。」ぐらいは伝えておいても良いでしょう。

退職や休職についての書き方

過去に、体調不良により休職したり、職場とのミスマッチにより退職されたことがある場合、どのように書けば良いか迷う人もいるかもしれません。

基本的に、職歴については隠したり、ごまかしたりせず、事実を書くようにしましょう。
退職や休職の書き方について、解説していきます。

退職理由は、相手が納得できるものを記入する

退職理由については「一身上の都合により退職」とすることが一般的ですが、その他の理由が書ける場合は簡潔に記載しましょう。
採用担当者が見たときに「なるほど、そういう理由があって退職したのですね」と納得できるようなな理由がある場合は、記載すると良いでしょう。

具体的には以下のようなものが考えられます。

  • 契約期間満了により退職
  • 就労移行支援利用のため退職
  • 大学入学のため退職 など

特段、上記のような理由がなければ、「一身上の都合により退職」で問題ありませんが、面接などでは退職理由を尋ねられる可能性が高いので、口頭で答えられるようにしておきましょう。

休職期間は、理由や対処法を説明できるようにする

休職期間を履歴書に書くことは、義務ではありません。
ですが、選考の中で休職の有無を確認された場合には、偽らず正確に答えるようにしましょう。
正確に答えられるか不安がある場合は、あらかじめ履歴書にも記載しておくと良いでしょう。

大切なのは、休職期間が発生した理由について自分で振り返りができていて、今後同じようなことが起こらないように、自分で対処したり、周囲に助けを求めることができるか、ということです。

採用担当者が一番安心するのは、休職期間を履歴書に明記したうえで、「●●の理由により休職をしましたが、■■という対処を行ったことで復職することができ、今は安定して勤務できています」のように休職の理由・対処・現状が伝えられることです。

就労移行支援などの利用歴の書き方

過去もしくは現在、就労移行支援や職業訓練などを利用している人もいるかもしれません。
以下のような経歴は、履歴書にも記載しましょう。

  • 就労移行支援の利用期間
  • 就労継続支援(A型/B型)での職歴
  • 公共職業訓練などの利用期間

学校卒業後や、職歴の合間に空白の期間があると、採用担当者は「この期間はどのように過ごしていたのか?」を気にします。職業訓練や支援機関に通っていた場合は、その期間もぜひ職歴覧に明記しましょう。

書きたいことが履歴書に収まらない場合は?

履歴書の書式はA3用紙1枚、もしくはA4用紙2枚程度が一般的ですので、経歴に加えて自己PR、志望動機、障害特性や配慮事項などを書いていると、用紙に収まらないことがあるかもしれません。
その場合は、「職務経歴書」「自己紹介書」「障害に関する資料」など、別紙を用意し、詳細は別紙に記載するようにしましょう。

ただし、書きすぎないように注意してください。
採用担当者も多忙な中、沢山の候補者の書類に目を通しています。別紙を用意する場合はA4用紙1~3枚程度にまとめ、簡潔に記載するようにしましょう。

まとめ

障害者雇用の履歴書の書き方について、解説してきました。

基本的には一般雇用の履歴書と同じですが、特に障害の特性や体調、合理的配慮の希望など、書き方に迷う部分があるかもしれません。
求人サイト「マイナーリーグ」では、障害についての記入欄を盛り込んだ、履歴書のテンプレートと記入例を公開しています

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著者プロフィール 東海林彩子

株式会社Kaien
就労支援事業部 法人サービス担当
シニアディレクター
2014年Kaien入社。就労移行支援の支援員として経験を積み、2020年から法人向けサービスに参画。大手企業多数の障害者雇用プロジェクト推進の他、大手グローバルファームに常駐しダイバーシティ推進担当として社内啓発などの業務に従事。公認心理師。

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