「ASD(自閉スペクトラム症)だから、自分に合った仕事が見つからないかもしれない」そう不安に感じている方もいるのではないでしょうか。ASDの診断がある方や、その傾向を持つ方の中には、「ASD 向いている仕事」などのキーワードで求人検索される方も多いかもしれません。
ASDと一言で言っても、その特性の現れ方は人によってそれぞれ異なります。大切なのは、自分の特性を深く理解し、それを強みとして活かせる仕事を見つけることです。
この記事では、ASDの特性を活かせる仕事、逆に避けた方が良いかもしれない仕事について、具体的な例を挙げながら解説します。あなたの特性に合った仕事を見つけ、自分らしいキャリアを築くためのヒントがきっと見つかるはずです。
目次
ASDの特性を理解することから始めよう
ASDの特性は多岐にわたり、人によって現れ方が異なります。しかし、一般的には以下のような特性が見られることが多いです。
- 集中力の高さと持続力: 特定の興味や関心に対して、非常に高い集中力を発揮できる
- 細部への注意力と正確性: 細かい部分にまで気を配り、正確な作業ができる
- 論理的思考力と問題解決能力: 物事を体系的に捉え、論理的に分析できる
- 誠実さと責任感: ルールや規則を守り、責任感を持って仕事に取り組める
- 独自の視点と創造性: 他とは異なる視点から、新しいアイデアを生み出すことができる
これらの特性は、仕事選びにおいて大きな強みとなります。しかし、同時に以下のような特性によって、仕事選びや職場環境に配慮が必要となる場合もあります。
- 社会的コミュニケーションの困難さ: 相手の気持ちや意図を理解することが難しい
- 変化への対応の難しさ: 予定外の事態や急な変更に対応することが苦手
- 感覚過敏: 特定の音、光、触覚、においなどに過敏に反応する
これらの特性を理解した上で、自分に合った仕事、働き方を見つけることが大切です。
ASDの特性が活かされやすい仕事
ASDの特性は、特定の仕事において強みとなります。ここでは、ASDの特性が活かされやすい仕事を具体的に紹介します。
集中力を活かせる仕事
特定の興味や関心に対するこだわりの強さが強い方は、自分の興味があることに関してはすみずみまで確認でき、時間を忘れるくらい集中できる特性があります。集中力が活かせる仕事であれば、その特性が強みとなるでしょう。
- プログラマー: 高い集中力で、複雑なプログラミングや開発業務に取り組めます。
- 研究職: 特定の研究テーマに対して、深い知識と集中力を発揮できます。
- データ分析: 大量のデータを正確に分析し、有益な情報を抽出できます。
習慣にあきることなく行動できることを活かせる仕事
変化に苦手を感じる方、ルーティン行動へのこだわりが強い方は、同じ業務を繰り返しコツコツと行えることが強みと言えます。
- データ入力、事務職: 正確性と集中力が求められるデータ入力や書類作成などの事務作業に向いています。
- 品質管理、検査: 決められた手順に従って、正確に品質チェックや検査を行うことができます。
- 図書館司書、資料整理: 資料の整理やデータ入力など、正確性と集中力が求められる業務に向いています。
正確性を活かせる仕事
ASDの特性のひとつとして整理整頓やデータ管理など、緻密な作業が得意という方もいるかと思います。目の前のことにこだわりすぎてしまうことが弱みでもありますが、他の人が気づかないミスを発見できるという強みにもなります。正確性や集中力が求められる作業が行われる職場にて活躍できそうです。
- 校正、校閲: 文章やデータの誤りを見つける正確性と集中力を活かせます。
- 経理、会計: 細かい数字を正確に扱う能力が求められる業務に向いています。
- CADオペレーター: 正確な図面作成やデータ入力を行うことができます。
誠実さと責任感を活かせる仕事
ルールや規則を遵守し、与えられた責任を果たすことに強い意識を持っている人も多いかと思います。具体的な業務内容だけでなく、誠実さ、責任感が求められる「業界」「社風」など、企業の環境面から合う仕事を考えてみるのも一つです。
- 法務、コンプライアンス: 法令や規則を遵守し、正確な業務遂行が求められる業務に向いています。
- 日系企業: 成果やスピードが重視される外資系企業に比べ、日系企業の方が誠実さやルール順守する姿勢も評価される傾向があります。
- モノづくりや研究開発の業界: 研究職や職人気質の方などが多く活躍している企業では、会社全体の社風として、誠実に取り組む姿勢が評価される傾向があります。
これらの仕事は、あくまで一例です。大切なのは、自分の特性を理解し、それを強みとして活かせる仕事を見つけることです。
ASDの方が苦手と感じる可能性がある仕事
一方で、ASDの特性によっては、避けた方が良いかもしれない仕事もあります。
非言語的コミュニケーションが求められる仕事
ASDの方は、相手の視線や表情から、言葉以上の感情を想像し自分の行動に反映することに苦手を感じやすい傾向もあるかもしれません。
- 営業職、接客業: 顧客との非言語的なコミュニケーションや、状況に応じた柔軟な対応が求められるため、ストレスを感じやすいかもしれません。
- カウンセラー:相手の感情や状態を的確に把握し、安心感を与えるために、高いコミュニケーション能力が求められます。
多くの情報を受け取る環境での仕事
特定の音、光、触覚、におい、味に過敏または鈍感な傾向の方もいるかと思います。この傾向は感覚過敏という言葉であらわされることもあるASDの特性のひとつです。(逆に感覚鈍麻の方もいます)
状況に合わせて環境設定を自分でコントロールできる職場を選ぶといいでしょう。(耳栓やサングラスの着用が許される職場など)
- コールセンター: 多くの顧客からの電話に対応するため、様々な情報や刺激にさらされる可能性があります。
- イベント会場スタッフ: 大勢の人や騒音、強い光などにさらされるため、感覚過敏の方はストレスを感じやすいかもしれません。
これらの仕事も、あくまで一般的な傾向です。ASDの方でも、これらの仕事で活躍されている方はいます。大切なのは、自分の特性を理解し、職場環境や業務内容を事前に確認することです。
マルチタスクが苦手なASDに管理職は目指せない?
例えばプロジェクトマネージャーやリーダー職などを将来のキャリアビジョンとして考えていくこともありますよね。ただ、そのビジョンには「マルチタスク」という大きな壁があると感じる方も多いのではないでしょうか?
ではあきらめないといけない未来なのでしょうか。そんなことはありません。
タスクの細分化や可視化をすることで複数の業務を同時に進行することができるようになった方もおられます。このように、自分にあった方法を見つけることが壁を打破する一つの策にもなると考えられます。
キャリアアップが見込める求人の探し方については以下の記事も参考にしてみてください。
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ASDの方に向いている仕事、向いていない仕事や将来のキャリア設計のための策などについて解説してきました。人により特性の現れ方は様々です。「ASDだから◎◎じゃなければいけない」ではなく、「自分は●●だからこういう仕事が合いそう」「こんなキャリアビジョンを持ちたい」という観点が持てるよう、特性整理をし、仕事探しをしていただければとおもいます。
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