障害のある方が就職を考える際、「正社員として働ける求人はどのくらいあるのだろう?」と気になるのではないでしょうか。障害者雇用の求人の中には契約社員やアルバイトといった非正規雇用のものも多く、「正社員の求人は少ないのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、実際のデータを見ると、障害者雇用における正社員の求人は増えてきており、正社員登用の制度も充実しつつあります。
この記事では、障害者雇用の正社員求人の現状や、正社員登用の実績について詳しく解説していきます。
目次
障害者雇用の正社員求人の実態
障害者向けの求人サイト「マイナーリーグ」では、障害者雇用の正社員求人や正社員登用制度のある求人を多く掲載しています。では、実際にどのくらいの割合の求人が正社員採用を行っているのでしょうか?
以下は、マイナーリーグに掲載された求人データを基に、2022年から2024年にかけての正社員求人の割合をまとめたものです。
年度 | 「入社時から正社員雇用」の求人 | 「正社員登用制度あり」の求人 | 正社員登用制度について記述なしの求人 |
2022 | 11.9% | 38.8% | 49.4% |
2023 | 17.9% | 48.2% | 33.9% |
2024 | 18.6% | 49.5% | 31.8% |
このデータからも分かるように、障害者雇用において正社員採用の求人は年々増加しており、2024年には全体の約18.6%が正社員としての採用枠を設けています。
また、正社員登用制度のある求人も増えており、2024年には約49.5%の求人が正社員登用の制度を明記していました。
つまり、2024年時点では、正社員としての採用、もしくは正社員登用制度がある求人の割合は合計で約7割にのぼることが分かります。

「正社員登用制度あり」の求人は本当に正社員になれるのか?
「正社員登用制度あり」と記載されていても、「実際には一部の人しか正社員になれないのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。実際のところ、どのくらいの方が正社員に登用されているのでしょうか。
マイナーリーグを運営する株式会社Kaienが発達障害の方に実施した就業実態調査(2020年版)によると、正社員として働いている人の中で「いつ正社員になったか」を聞いた結果、以下のようなデータが得られました。
正社員になった時期
- 入社当初から正社員:18%
- 入社5年以内に正社員になった:78%
この結果からも分かるように、最初は契約社員や有期雇用でのスタートだった方も、働き続けることで多くの方が正社員へ登用されていることが分かります。
障害者雇用ではなぜ契約社員スタートが多いのか?
いっぽうで上記の表によると、入社当初から正社員としての求人は2024年でも全体の2割弱で、少ないと感じる方もいるかと思います。
障害者雇用で、採用時に契約社員や有期雇用としてスタートするケースが多いのはなぜなのでしょうか?その背景には、障害者雇用ならではの事情が関係しています。
障害者手帳を持っている方の場合は、体調を崩していたり、精神的な安定性に不安がある方もいるでしょう。
働くためには求職者側も、体調やメンタルを整えたうえで就活を開始したり、体調を崩さずに働くために必要な合理的配慮を企業に伝えるなどして、安定的に勤務する努力が必要です。
しかし、どのくらい安定的に勤務できるかは、実際に働き始めてみないとわかりません。
企業は採用時点で応募者の体調や、職場環境への適応度を把握しきれないため、「長く安定して働けるか?」を見極める目的で最初は非正規雇用として採用することがあります。
これは障害のある方に限らず、新卒採用や中途採用においても試用期間を設けるケースと似ています。
しかし、一定期間働くことで「安定して勤務できる」「職場環境に適応できる」と評価されれば、正社員登用される可能性は十分にあります。
その結果が、上記の「入社5年以内に正社員になった人:78%」にも出ているのです。
正社員登用を目指すためにできること
では、正社員を目指すためにどのような点に気を付けるとよいのでしょうか?
- 正社員登用の実績を確認する
- 求人情報や会社説明会で、過去の正社員登用実績を確認しましょう。実際に登用されている事例が多ければ、チャンスも高いと考えられます。
- 真面目に安定した勤務を続ける
- 勤務態度や仕事の安定性が評価されることが多いため、長期的に安定して働くことが重要です。
- 上司や人事担当者とのコミュニケーションを大切にする
- 正社員登用を目指していることを伝え、どのような基準があるのか、自分のどこを改善・向上させれば正社員になれる可能性が広がるのかを相談してみましょう。
- スキルアップを意識する
- 会社によっては、業務の習熟度やスキルアップが登用の判断材料になることもあります。
求人の選び方については、以下の記事も参考にしてみてください。
正社員求人は増加傾向、チャンスを活かそう
障害者雇用における正社員求人は年々増加しており、正社員登用制度がある企業も増えています。データからも分かるように、実際に多くの方が正社員に登用されています。
また、障害者雇用では契約社員スタートの求人が多い理由も、背景を考えると納得できる部分もあります。大切なのは、長期的に安定して働き、正社員登用のチャンスを掴むことです。
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