障害者手帳の種類と注意点

誤解されているようですが、発達障害の人も”社会的な制約”があれば、うつなど二次障害がなくても障害者手帳を申請・取得できます。手帳の種類は知的障害のある場合は「療育手帳」で、大人になって発達障害がわかった場合の多くは「精神障害者保健福祉手帳」となります。手帳は”障害者枠”での就職を目的に申請されるケースが一般的です。

1発達障害専用の障害者手帳は無い

発達障害は2000年以降に診断が増えてきた”第4の障害”です。このため発達障害者への障害者手帳はすでにある3障害(身体・知的・精神)の支援制度に後から組み込まれる形になりました。発達障害”専用”の障害者手帳がないのはそのためで、知的に遅れのある発達障害の人は療育手帳を、知的に遅れがない場合は精神障害者保健福祉手帳を取得します。
発達障害の手帳種類
知的に遅れがある 療育手帳
知的に遅れがない 精神障害者保健福祉手帳
2010年に障害者自立支援法が改正され、精神障害者の中に発達障害者が含まれると明記されたこともあり、二次障害のない発達障害の方の障害者手帳取得が、近年急激に増えています。

2大人の発達障害に多い”精神”手帳

発達障害を正確に判定するためには半年以上続けて通院し、症状が続けて現れることを医師が確認する必要があります。つまり障害者手帳の申請には、初診から6ヶ月以上経過している必要があります。
申請書を提出する先はお住いの自治体です。提出した書類は各都道府県の精神保健福祉センターに送られ、①どんな症状があるか②日常生活や社会生活をおくる上でどんな難しさがあるか③総合的に考えてどのくらいの障害の重さか、から判定が行われます。
精神の手帳は3つの等級に分けられ、障害が最も重い場合は1級中程度だと2級最も軽い場合は3級と認定されます。
精神障害者保健福祉手帳の等級
最も重い 1級
中程度 2級
最も軽い 3級
発達障害を事由とした精神障害者保健福祉手帳の申請は、首都圏の各都県では概ねスムーズに認定・交付されています。一方で、これまでうつ病や統合失調症などの事由での申請が多かったために、発達障害を理由とした申請がスムーズに進みづらい自治体が残っている可能性もあります。お住まいの地域でこれまで発達障害の人の手帳判定でどんな傾向があったか主治医や支援機関に前もって確認することをお勧めします。
精神障害者保健福祉手帳を交付されると、2年ごとに更新があります。申請書や診断書を提出して、現在の障害の様子を改めて確認してもらい、再判定を受けます。発達障害は先天的で一生基本的な要素は残り、根本的に治癒するものではないため、本来他の精神障害のように2年に一度の確認は不要なはずですが、認定の仕組みは精神障害でも発達障害でも一緒ですので、2年に一度の更新手続きは必須です
障害者手帳は、持つことのメリットがなくなった時は返還することもできます。つまり、自分の人生で必要な時期だけ持つという選択が可能です。

3知的障害を合併している人は”療育”手帳

発達障害のある人で知的障害もある場合は、療育手帳を取得するのが一般的です。自治体により定義が異なりますが、おおむねIQ70以下が知的障害とされます。療育手帳は障害の重さによって等級が分かれ、例えば東京都の「愛の手帳」は1度が最重度、2度が重度、3度が中度、4度が軽度となっています。
療育手帳の場合、障害福祉課などの市区町村の窓口か、直接都道府県の障害者福祉センターなど(18歳未満は児童相談所)でIQテストや面接をして判定を受けます。判定には、幼いころの様子をよく知る家族の同行や、幼いころの様子がわかる学校の通知表などの資料の提出が求められることがあります。
判定から1~2か月で結果が届き、手帳が交付されます。手帳の更新があるかどうかや更新のタイミングは自治体によって大きく異なります。精神の手帳と同じく療育手帳も不要になったら返還可能です。
知的障害は小さいころから明確に見えやすいため、療育手帳は通常10歳ぐらいまでには取得するものです。ただし成人してから発達障害の診断を受け療育手帳を取得したという人も少数ですが見られます。この場合も手帳発行の基準や手続きは子どもの場合と変わりません。
知的障害のある発達障害の人が「療育手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」の両方を持つことは可能です。ただし、就職活動で複数の障害者手帳を持っていること自体に大きな有利不利はありません。(※受けられる企業がわずかに増える可能性はあります)
発達障害のある人への障害者及び養育手帳の発行基準は、都道府県や政令指定都市ごとに異なることがありますが、今後改善され全国的に基準が統一される可能性もあります。
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