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グレーゾーンとは?発達障害との違いや特徴・対処法を解説

「もしかして発達障害なのではないか」「でも診断はつかないと言われた」
このような不安や戸惑いを抱えている方は少なくありません。

グレーゾーンとは、発達障害の診断基準を完全には満たさないものの、発達障害の特性が一部見られる状態を指す通称です。診断名がつかないため支援を受けにくい一方で、日常生活や仕事の場面で困難を感じている人も多くいます。

本記事では、グレーゾーンの定義や発達障害との違い、具体的な特徴、日常生活や仕事で役立つ対処法について解説します。
自分自身や家族の特性を理解し、無理のない形で生活や働き方を整えるヒントとして、ぜひ参考にしてください。

グレーゾーンとは

グレーゾーンの定義

グレーゾーンとは、発達障害の診断基準を完全には満たさないものの、その特性が部分的に見られる状態を指します。
医学的な正式名称ではなく、診断基準の「境界線上」にある状態を表すために使われる言葉です。

例えば、以下のようなケースが挙げられます。

  • 検査結果や問診で特性は見られるが、診断基準の閾値に達していない
  • 子どもの頃から生きづらさはあったが、日常生活は何とか送れている
  • 環境によっては問題なく適応できるが、特定の場面で強い困難を感じる

このように、特性による困難は存在していても、診断名がつかないことで公的支援制度の対象外となるケースが多いのが現状です。

また、グレーゾーンでは、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)など、複数の発達障害特性が混在して見られることもあります。

発達障害との違い

発達障害とグレーゾーンの最も大きな違いは、診断基準を満たしているかどうかです。

  • 発達障害:
     医学的な診断基準を満たし、医師による正式な診断名がつく
  • グレーゾーン:
     特性は見られるが、診断基準に達せず診断名がつかない

診断の有無は、症状の重さだけでなく、日常生活や社会生活への影響度、特性の組み合わせ、環境との相性などを総合的に判断して決まります。

重要なのは、診断名がない=困りごとが軽い、支援が不要、というわけではないという点です。
グレーゾーンであっても、本人が困難を感じている場合には、配慮や工夫、支援が必要なことは少なくありません。

グレーゾーンの特徴

コミュニケーション面の特徴

グレーゾーンの方は、対人コミュニケーションにおいて次のような傾向が見られることがあります。

  • 相手の表情や声のトーン、言葉の裏にある意図を読み取るのがやや苦手
  • 暗黙の了解や「察する」文化に戸惑いを感じやすい
  • 会話のキャッチボールがぎこちなく、一方的に話してしまったり、逆に会話が続かなかったりする
  • 冗談や皮肉を文字通りに受け取ってしまい、誤解が生じやすい

本人に悪意はなくても、「空気が読めない」「話がかみ合わない」と受け取られてしまい、人間関係のストレスにつながることがあります。

行動と注意の面の特徴

行動面や注意力に関しては、以下のような困難が見られることがあります。

  • 予定外の変更に強いストレスを感じ、気持ちの切り替えが難しい
  • 優先順位をつけることが苦手で、何から手をつければよいか分からなくなる
  • マルチタスクが難しく、同時進行で作業をするとミスが増える
  • 忘れ物やケアレスミスが多く、締め切り管理が苦手
  • 特定の手順ややり方に強いこだわりがあり、変更を嫌う

仕事や学業においては、「能力が低い」と誤解されてしまうこともありますが、実際にはやり方や環境が合っていないだけの場合も少なくありません。

感覚過敏・感覚鈍麻の特徴

グレーゾーンでは、感覚の感じ方に偏りが見られることもあります。

  • 音や光、匂い、触感などに対して過敏、または鈍感
  • 周囲の生活音や機械音が気になり、集中できない
  • 服のタグや素材の感触が気になり、不快感を覚える
  • 痛みや暑さ・寒さを感じにくい、または過剰に感じる

これらは周囲から理解されにくく、「気にしすぎ」「わがまま」と受け取られてしまうこともありますが、本人にとっては切実な困難です。

特徴領域周囲で起きやすい誤解・影響
コミュニケーション「空気が読めない」と思われる、話が噛み合わずストレスに発展
行動・注意「要領が悪い」「能力不足」と見られがち、環境不適合による失敗が増える
感覚特性「気にしすぎ」「わがまま」と誤解される

グレーゾーンの対処法

日常生活での工夫

日常生活では、仕組み化・見える化を意識することが有効です。

  • スマートフォンのリマインダーやタスク管理アプリを活用する
  • 持ち物の定位置を決め、「使ったら戻す」ルールを徹底する
  • 予定変更がある場合は、できるだけ事前に伝えてもらうよう周囲に依頼する
  • 疲れやストレスのサインに気づいたら、早めに休息を取る

「頑張って克服する」よりも、「負担を減らす工夫をする」視点が大切です。

日常生活での工夫チェックリスト(例)

カテゴリよくある悩み具体的な解決策・ツール(ライフハック)
時間・朝遅刻する、準備が終わらない□スマートフォンのリマインダーやタスク管理アプリを使う
□ 翌日の持ち物を「玄関のカゴ」等にひとまとめにしておく
□ 朝の行動(洗顔→歯磨き等)を手順表にして貼る
家事片付けられない、中身を忘れる□ 収納は透明ケース等で「中身が見える化」する
□ 洗濯物は畳まず、ハンガーのまま収納する
お金衝動買い、使いすぎ、未払い□ クレジットカードではなく「現金・プリペイド・デビットカード」を使う
□ 欲しい物はカゴに入れたまま「3日間寝かせる」
□ 固定費はすべて「自動引き落とし」にする
感覚疲れやすい、音が辛い□ ノイズキャンセリングイヤホンを常備する
□ 部屋の照明を少し暗くする
□予定の変更は早めに教えてもらうように周囲に伝える
□ 休日は予定を入れない「完全休息日」を作る
忘れ物物をなくす□ 大切な物に「スマートタグ(AirTag等)」をつける
□ 物の定位置にラベリング(名前シール)をする

職場での配慮

仕事の場面では、自分の特性に合った働き方を整えることで、パフォーマンスが大きく向上することがあります。

  • 上司や同僚に、可能な範囲で特性や困りごとを伝える
  • 指示は口頭だけでなく、メールやチャットなど文書でもらう
  • ノイズキャンセリングイヤホンやパーティションで集中環境をつくる
  • タスクは細分化し、優先順位を明確にして一つずつ進める

診断名がなくても、合理的配慮として調整できるケースは多くあります。

職場での工夫チェックリスト(例)

カテゴリ具体的な困りごと配慮・工夫のアクション(ToDo)
業務指示口頭指示を聞き漏らす、忘れる□ 指示は口頭だけでなく「メール・チャット」でもらう
□ メモを取り、その場で復唱して確認する
業務指示何から手をつけていいか迷う□ 優先順位を明確に指示してもらう
□ 「いつまでに」という期限を具体的に切ってもらう
環境調整周囲の話し声や雑音で集中できない□ ノイズキャンセリングイヤホンや耳栓の使用許可をもらう
□ 人通りが少ない席やパーティションのある席を希望する
タスク管理マルチタスクで混乱する□ タスクを細分化し、一つずつ(シングルタスク)進める
□ ToDoリストで可視化し、終わったら消し込む
マニュアル暗黙の了解がわからない□ 具体的な手順書やマニュアルを整備してもらう
□ 自分用の業務手順書(マイマニュアル)を作成する

専門機関の活用

グレーゾーンであっても、相談できる支援先は存在します。

  • 発達障害者支援センターでの相談
  • 医療機関でのカウンセリングや心理検査
  • 認知行動療法によるストレス対処や思考整理
  • 就労移行支援事業所での職業訓練や対人スキルの習得

また、民間のカウンセリングやコーチングサービスを利用することで、診断の有無に関わらずサポートを受けることも可能です。

相談窓口名サービスの特徴設置されている地域対象年齢公式サイトURL
発達障害者支援センターハローワークなどの就労支援機関と連携して就労支援をおこなう。発達障害をもつ本人・家族からの相談に応じ、適職や問題点について具体的にアドバイスしてくれる。すべての都道府県・政令都市http://www.rehab.go.jp/ddis/action/center/
障害者就業・生活支援センター障害をもつ方に対し、安定して働けるようサポートを提供する。雇用・保健・福祉・教育などの関係機関と連携し、障害のある方が安心して働ける環境を整えることを目的としている。337ヶ所(令和6年4月1日時点)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18012.html
地域障害者職業センター一人ひとりのニーズに沿った職業リハビリテーションをおこない、安定した雇用につながるよう支援する。ジョブコーチ(※1)が、職場でのコミュニケーションや業務の遂行についての助言をおこなう。すべての都道府県https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/
ハローワーク発達障害の特性に応じた職業相談をおこなう。福祉・教育機関と連携し、就職の準備から職場定着までを支援するすべての都道府県https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/hellowork.html
地域若者サポートステーション厚生労働省委託の支援機関。現在働いていない方や、就学中ではない方を対象とし、コミュニケーション講座や職場体験、就活セミナーなどをおこなう。全国177ヶ所15歳から49歳https://saposute-net.mhlw.go.jp/
就労移行支援通所型の障害福祉サービス。働くためのスキルを身につけるトレーニングや、就職活動のサポートを提供する3,301ヶ所(令和2年10月時点)18歳から64歳参考: https://www.kaien-lab.com/

まとめ

  • グレーゾーンとは、発達障害の診断基準を満たさないものの特性が見られる状態を指す
  • 診断名がなくても、コミュニケーションや行動、感覚面で困難を感じることは多い
  • 日常生活の工夫や職場での配慮、専門的な支援を組み合わせることで負担を軽減できる
  • 自分の特性を理解し、無理のない環境を選ぶことが、安心して生活・就労する第一歩となる

グレーゾーンであることは「できないこと」ではなく、「合うやり方を見つける必要がある」という特性の一つです。
自分に合った環境や支援を選択しながら、より自分らしい生活や働き方を目指していきましょう。

自分らしく働ける場所は、必ずあります

グレーゾーンの特性による「働きづらさ」は、あなた自身の努力不足ではなく、環境とのミスマッチが原因かもしれません。無理をして周りに合わせ続けるのではなく、あなたの特性を理解し、強みを活かせる職場を探してみませんか?

「マイナーリーグ」は、発達障害・精神障害の方専門の求人サイトです。診断がないグレーゾーンの方も、特性に配慮のある企業と出会うチャンスがあります。まずは求人を見て、自分に合う働き方のイメージを広げてみましょう。

著者プロフィール 東海林彩子

株式会社Kaien
就労支援事業部 法人向けサービス担当
シニアディレクター
2014年Kaien入社。就労移行支援の支援員として経験を積み、2020年から法人向けサービスに参画。大手企業多数の障害者雇用プロジェクト推進の他、大手グローバルファームに常駐しダイバーシティ推進担当として社内啓発などの業務に従事。公認心理師。

取材対応:週刊ダイヤモンド「職場の発達障害 最新情報