発達障害のある人は、「仕事が続かない」「職場でうまくいかない」と悩みやすい一方で、特性に合った環境や業務内容を選べば、強みを活かして安定的に働くことが可能です。
発達障害のある人が仕事を続けるうえで大切なのは、発達障害そのものを「弱み」と捉えるのではなく、自分の特性を正しく理解し、それを前提とした仕事選びや働き方を考えることです。
本記事では、発達障害のある人が仕事で感じやすい困難や、職場で必要な配慮、向いている仕事の傾向、そして仕事探しの具体的なポイントについて解説します。
「自分に合う仕事が分からない」「今の職場がつらい」と感じている方が、自分の特性を理解しながら、無理なく長く安心して働くためのヒントを見つけていただければ幸いです。
目次
発達障害のある人が仕事で悩みやすい理由
仕事でつまずきやすいポイント
発達障害にはさまざまな特性があり、仕事上の困難も人によって異なります。代表的な例を見ていきましょう。ここでは、発達障害の種類ごとに、仕事でつまずきやすいポイントを整理しています。
| 発達障害の種類 | 困難と感じやすいこと | 職場で起こりやすい事例 |
| ASD(自閉スペクトラム症) | ・暗黙のルールや空気を読むこと ・曖昧な指示への対応 | 「普通はこうする」「察して動く」といった文化のある職場では、評価されにくかったり、誤解を受けたりする |
| ADHD(注意欠如・多動症) | ・注意の持続や優先順位づけ ・時間管理 | ケアレスミスが続いたり、締め切りに追われて強いストレスを感じたりすることで、自信を失ってしまう |
| LD(学習障害) | ・読み書きや計算など、特定の分野 | 業務内容によっては支障が出る一方で、得意分野では高い能力を発揮できることも多い |
| 感覚過敏(共通) | ・音や光、人の声などの刺激に敏感な人は、オフィス環境そのものが大きな負担になる | 集中力の低下や疲労の蓄積につながり、結果的に仕事が続かなくなる原因になることがある |
職場で必要な配慮
発達障害のある人が安定して働くためには、環境面・業務面での配慮が欠かせません。
たとえば、
・指示を口頭だけでなく、メールやチャットなど文書で具体的に伝えてもらう
・業務の優先順位や締め切りを明確にしてもらう
・静かな席や個別スペースを用意してもらう
・定期的な面談で困りごとを共有し、業務内容を調整してもらう
といった配慮があるだけで、働きやすさは大きく変わります。
重要なのは、「我慢する」のではなく、「必要な配慮を前提に働く」という考え方です。
発達障害の人に向いている仕事の「考え方」と例
ASD、ADHDの傾向と仕事
*以下はあくまで一例です。同じ診断名であっても、特性や向き・不向きは人によって異なります。
| 発達障害の種類 | 傾向 | 具体的な職種例 | 望ましい職場環境 |
| ASD (自閉スペクトラム症) | ルールや手順が明確で、再現性の高い業務に強みを発揮しやすい | ・プログラミング、システム運用、データ分析 ・研究職、技術職、専門職 ・品質管理、検査業務、校正作業 ・図書館司書、バックオフィス業務など、集中力や正確性が求められる仕事 | 在宅勤務やリモートワークが可能な職種では、対人ストレスを抑えながら働ける |
| ADHD (注意欠如・多動症) | 変化のある環境や、自分のアイデアや行動力を活かせる仕事に適性があることが多い | ・デザイナー、クリエイティブ職 ・営業職、企画職、イベント運営 ・スタートアップや裁量の大きい職場など、短期集中力や発想力が強みになる仕事 | 締め切り管理やタスク管理を一人で抱え込まないよう、ツールや周囲のサポートがある |
| LD(学習障害) | 読み書き・計算などの特定の苦手分野の負荷が少なく、得意分野を活かせる仕事 | ・ものづくり ・ITサポート ・軽作業 ・デザイン補助 など | マニュアルの工夫、ツール活用ができる |
| 感覚過敏(共通) *特定の診断名に限らず、多くの発達障害のある人に見られる特性 | 音・光・人の刺激が少ない環境で集中できる仕事 | ・在宅業務 ・個別作業 ・バックオフィス業務 など | 静かな環境、在宅・席配置の配慮がある |
共通して適している環境
発達障害のある人に共通して言えるのは、「職種」だけでなく「環境選び」が非常に重要だということです。
・指示や評価基準が明確
・業務範囲がはっきりしている
・フレックスタイムや在宅勤務など柔軟な働き方ができる
・障害特性への理解がある
障害者雇用枠を活用することで、必要な配慮を受けながら安定して働きやすくなります。 自分の得意分野を活かせる環境を選ぶことが、長期就労への近道です。
発達障害のある人の仕事探しの進め方
発達障害のある人の仕事探しは、「内定=ゴール」ではありません。
働き続けること(定着)までを含めて考えることが大切です。
仕事探しから定着までのステップ
以下に仕事探しから定着までの4つのステップとそれぞれの主なアクション、ポイントをまとめました。ここでは、発達障害のある人が仕事探しを進める際の一般的な流れを整理しています。
| ステップ | 主なアクション | ポイント |
| ①準備 | ・特性(強み、課題など)の整理 ・必要な合理的配慮の言語化 ・支援機関への相談 | 自己理解を深める |
| ②応募 | ・雇用枠の検討(障害者/一般) ・職場見学・実習での確認 ・特性を踏まえた書類作成 | 適性(マッチング)をしっかり見極める |
| ③入社 | ・業務と配慮事項の最終確認 ・上司・人事との定期相談 ・無理のない業務量で開始 | コミュニケーションの土台作り |
| ④定着支援 | ・定期面談での困りごと共有 ・合理的配慮の見直し ・支援機関との継続相談 | 環境のメンテナンスを続ける |
仕事探しの準備
仕事探しを始める前に、まずは自己理解や必要な配慮を深めることが大切です。
・自分の特性(強み・課題など)を整理する
・就労移行支援事業所で職業訓練や実習を受け、実際の業務を体験しながら理解を深める
発達障害者支援センターやハローワークの専門窓口など、支援機関を活用することで、一人で抱え込まずに仕事探しを進めることができます。
応募と面接のポイント
障害者雇用枠で応募する場合は、自分の特性と必要な配慮を具体的に伝えることが重要です。
「何が苦手か」だけでなく、「どんな工夫があれば力を発揮できるか」をセットで伝えると、企業側もイメージしやすくなります。
一般雇用枠で応募する際は、障害を開示するかどうかを丁寧に検討することが大切です。
もし業務上の配慮が必要であれば、理解のある企業を選ぶことが、結果的に長く働き続けることにつながります。
職場見学や実習の機会があれば、実際の業務内容や雰囲気を確認した上で判断することをおすすめします。
長く働くための工夫
入社後も、安定して働き続けるための工夫が欠かせません。
・あらかじめ、同僚に可能な範囲で必要な配慮事項を伝える
・タスク管理アプリやリマインダーを活用する
・定期的に上司に相談し、支援機関や産業医も活用する
・無理をせず、早めに環境調整を相談する
・合理的配慮を定期的に見直す
「頑張りすぎないこと」も、長期就労には大切なポイントです。
利用できる主な支援機関一覧
すべてを一人で進める必要はありません。状況に応じて、以下のような支援機関を活用できます。
| 支援機関 | 主な支援内容 | こんな人に向いている |
| 発達障害者支援センター | 相談支援、情報提供、関係機関との連携 | ・診断の有無に関わらず、まずどこに相談すべきか迷っている人 |
| 就労移行支援事業所 | 職業訓練、実習、就職支援、定着支援 | ・就職前に準備期間がほしい人 ・自己理解を深めたい人 ・働くスキルを身につけたい人 |
| ハローワーク(専門援助窓口) | 求人紹介、職業相談、応募支援 | ・公的な窓口で障害者雇用枠の求人を探したい人 |
| 障害者求人エージェント | 特性理解、求人提案、企業との調整 | ・民間の専門家を通じて、配慮のある職場や非公開求人を探したい人 |
まとめ
発達障害と仕事を両立するためには、自分の特性を理解し、それに合った仕事や環境を選ぶことが重要です。
特性ごとに向いている仕事は異なりますが、強みを活かせる職種や配慮のある職場を選ぶことで、能力を十分に発揮できます。
障害者雇用枠や支援機関、専門エージェントを活用することで、一人では見つけにくい「自分に合った仕事」に出会える可能性も広がります。
無理なく、長く働き続けられる環境を見つけることが、安心したキャリア形成につながります。
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